先日、出産予定の病院で分娩教室に参加した際、はじめて「臍帯血(さいたいけつ)バンク」というものを知りました。みなさん、臍帯血(さいたいけつ)って、どんなものかご存知ですか?実は、現在治療法のない疾患に対する先端医療として注目されている、とんでもない可能性を秘めた特効薬だったのです。今日はそんな臍帯血についてご紹介します。
さい帯血とは?

胎盤とへその緒(さい帯)の中に含まれている血液のことです。 およそ40〜100mLの量があります。この中には赤血球、白血球、血小板などの血液細胞のもとになる細胞が、骨髄と同じくらいたくさん含まれています。
引用元:日本赤十字社九州ブロック赤十字血液センター連盟 公式ホームページ
さい帯血はどんな病気に効果的なのか?
「さい帯血」治療は、さい帯血幹細胞が脳内に移動し、脳内の免疫を調整し細胞の活性化(分泌)などをすることにより、障害や損傷を修復することが確認されています。現在は、脳性麻痺や自閉症、小児難聴など、人への臨床試験が数多く行われています。
さい帯血バンクとは?

「さい帯血バンク」とは、さい帯血の提供に同意された妊産婦から戴いたさい帯血を凍結保存し、移植を希望される患者さんに提供するところです。日本国内には、日本赤十字社九州さい帯血バンクのようなさい帯血バンクが十数ヶ所あります。
引用元:日本赤十字社九州ブロック赤十字血液センター連盟 公式ホームページ
実は、このさい帯血の保管先には、公的バンクと民間バンクがあります。 公的バンクに寄付したさい帯血は第三者に提供されるのに対し、民間バンクに預けたさい帯血は赤ちゃん本人と家族のために利用することができます。つまり、民間バンクは赤ちゃん本人やご家族のために保管するので、万が一の時にいつでも引き出して利用することができます。
公的バンク | 民間バンク | |
---|---|---|
費用 | 無償(寄付) | 有償 |
適応症 | 白血病などの血液疾患 | 白血病などの血液疾患 再生医療・細胞治療 |
対象者 | 第三者 | 赤ちゃん本人・ご家族 |
さい帯血はどうのやって採取するの?母体への影響は?

臍帯血の採取は、お母さんが出産後に、赤ちゃんとへその緒が切り離されます。その後、胎盤を取り出す後産が行われますが、その際にへその緒に注射して臍帯血の採取が行われます。病院によっては、胎盤がお母さんのおなかの中にあるときに採取するケースもあるようですが、へその緒に注射したところで、痛みなどはまったく感じません。時間にして5分か10分で終わり、ほとんどの妊婦さんは気づかないうちに終わります。

臍帯血バンクを利用するメリットは?

公的バンクの場合
- 費用負担がない
- 母子ともに採取のリスクがない
- どこかでだれかの命を救う可能性がある
民間バンクの場合
- 赤ちゃん本人・家族に提供できる
- 拒絶反応が起こりにくい
- 移植後の副作用の可能性が低い
- 1年生存率が高い
臍帯血バンクを利用するデメリットは?

公的バンクの場合
- 公的バンクと提携している病院でしか採取できない
民間バンクの場合
- 保管費用がかかる…10年保管で210,000円(税抜)※株式会社ステムセル研究所の場合
- 採取できる血液量が少ないため、治療に必要とされる幹細胞数を確保できるかは個人差がある
- 移植後の免疫力の回復が遅い
私なりの結論

私が出産予定の病院は、公的バンクと提携をしていないため、公的バンクへのさい帯血提供はできません。民間バンクへのさい帯血提供・冷凍保存には興味はありますが、今回はおそらく利用しないと思います。
もし、仮にわが子が治療法がない病気を発症したら…。そのときに、特効薬になりうるかもしれない「さい帯血」を冷凍保存していたら…。と、可能性が低くても、起こりうる最悪の事態をいろいろと考えてしまいます。ですが、その数パーセントの最悪の事態が実際に起こり、さらにその病気に対して「さい帯血」が効果を示す保証はどこにもありません。非常にむずかしい問題ですよね。

子どもの命は、なにものにも変えられないものです。なので、出産時のひとつの選択肢として、みなさんにも「さい帯血提供」の価値について、少しでも考えていただけるきっかけになれば嬉しいです。
レイカ
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